電子帳簿保存法対応と証憑のデジタル化戦略

経営

電子帳簿保存法の改正により、帳簿書類の電子保存に関する規制が大幅に見直されました。適切なデジタル化戦略を策定することで、税務調査への対応力を向上させるとともに、業務効率化も図ることができます。本記事では、電子帳簿保存法への対応とデジタル化戦略について詳しくご説明いたします。

電子帳簿保存法は、国税関係帳簿書類を電子的に保存する際の要件を定めた法律です。電子計算機を使用して作成する帳簿・書類、スキャナで読み取る書類、電子的に授受する取引情報の3つのカテゴリーに分けて保存要件が定められています。それぞれの要件を正しく理解し、適切なシステムを選択することが重要です。

電子帳簿等保存では、自社で電子的に作成した帳簿や決算関係書類を、電子データのまま保存することができます。主な要件として、訂正削除履歴の保存、相互関連性の確保、見読可能性の確保、検索機能の確保があります。使用する会計ソフトがこれらの要件を満たしているか確認し、必要に応じてバージョンアップや変更を検討します。

スキャナ保存は、紙で受領した書類をスキャンして電子保存する制度です。令和4年の改正により、タイムスタンプ要件が緩和され、改ざん防止措置として訂正削除履歴が残るシステムの使用が認められました。重要書類については解像度200dpi以上、カラー画像での保存が必要で、適正事務処理要件も満たす必要があります。

電子取引データ保存は、メールやクラウドサービスを通じて電子的に授受した取引情報の保存に関する規定です。令和4年1月から電子取引データの電子保存が義務化されており、印刷保存による代替は原則として認められません。電子メールで受信した請求書、クラウドサービスからダウンロードした領収書などが対象となります。

検索要件への対応は電子保存の重要なポイントです。取引年月日、取引金額、取引先の3つの項目について検索できる機能を確保する必要があります。範囲指定や組み合わせ検索も可能である必要があります。税務調査の際に調査官が求める書類を迅速に提示できるよう、検索機能を有効活用した整理方法を構築します。

改ざん防止措置についても適切な対応が必要です。タイムスタンプの付与、履歴が残るシステムの使用、改ざん防止に関する事務処理規程の策定のいずれかの措置を講じます。多くの企業では、事務処理規程の策定が最も実用的な選択肢となります。規程には責任者の設置、取扱いルール、点検体制などを明記します。

デジタル化戦略の策定では、段階的なアプローチが効果的です。まず、高頻度で参照される書類や重要度の高い書類から電子化を開始し、徐々に対象範囲を拡大します。スキャン作業の効率化のため、複合機やスキャナの選定、OCR機能の活用、自動分類機能の導入なども検討します。作業負荷と効果のバランスを考慮した計画を立てます。

クラウドサービスの活用も重要な選択肢です。電子帳簿保存法に対応したクラウド会計システムやファイル管理システムを導入することで、要件への対応が容易になります。セキュリティ面での信頼性、サポート体制の充実度、料金体系などを総合的に評価してサービスを選択します。また、データのバックアップ体制も確認しておくことが重要です。

税務調査への対応を考慮したデジタル化では、提示の容易性が重要なポイントとなります。調査官からの求めに応じて迅速に書類を提示できるよう、ファイル命名規則の統一、フォルダ構成の整理、検索機能の活用などを工夫します。また、システム障害に備えて、重要書類のバックアップ体制も整備しておくことが必要です。

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