税務調査において、調査官の権限と納税者の権利を正しく理解することは極めて重要です。双方の立場を理解することで、適切な調査対応が可能となり、不要なトラブルを避けることができます。本記事では、これらの権限と権利について詳しくご説明いたします。
税務調査官は国税通則법に基づき、様々な権限を有しています。まず、質問検査権があります。これは納税者やその代理人、従業員などに対して質問を行い、帳簿書類を検査し、必要に応じて提示や提出を求める権限です。ただし、この権限は無制限ではなく、調査の目的や必要性に応じて行使されるべきものです。
調査官は事業所、事務所、工場、倉庫などの場所に立ち入って検査を行うことができます。ただし、住居については、事業用途で使用されている部分のみが対象となり、純粋な居住部分への立ち入りは原則として認められていません。また、立ち入り検査は営業時間内に行われるのが通常です。
帳簿書類の検査権限についても制限があります。調査官は必要な帳簿書類の提示を求めることができますが、原則として預かることはできません。コピーを取る場合は納税者の同意が必要です。また、調査に無関係な書類の検査は権限の濫用となる可能性があります。
一方、納税者にも重要な権利があります。まず、事前通知を受ける権利です。税務署は調査の実施前に、調査の目的、対象税目、期間、日時、場所、必要書類などを通知する義務があります。これにより、納税者は適切な準備をする機会が保障されています。
納税者は調査の理由について説明を求める権利があります。なぜ自社が調査対象となったのか、どのような点に疑問があるのかなどについて、合理的な説明を求めることができます。ただし、調査手法や選定基準の詳細まで開示される義務はありません。
税理士等の代理人の立会いを求める権利も重要です。税理士は税務代理権限を有し、調査において納税者を代理することができます。調査官との質疑応答、書類の提示、意見陳述などを代理で行うことが可能です。専門的な知識を活用できるため、納税者にとって大きなメリットとなります。
調査手続きに関する権利として、調査時間の調整を求める権利があります。事業に重大な支障をきたす場合や、代理人の都合がつかない場合などは、合理的な範囲で日程調整を求めることができます。ただし、無制限に延期できるわけではありません。
納税者は調査結果について説明を受ける権利があります。調査終了時には、調査官から調査結果の概要、指摘事項がある場合はその内容と根拠について説明を受けることができます。納得できない点があれば、その場で質問や反論を行うことが重要です。
最後に、不服申立ての権利についてもご説明いたします。調査結果に納得できない場合は、異議申立てや審査請求といった行政手続きによる救済を求めることができます。また、国税不服審判所への審査請求や、裁判所への訴訟も可能です。ただし、これらの手続きには期限がありますので、迅速な対応が必要です。